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「トンネルを抜けるとそこは壮大な小さな世界でした。」

2020年6月に東京・有明にグランドオープンしたSMALL WORLDS TOKYO。そこは総面積8,000平方メートルから成る世界最大級の屋内型ミニチュアテーマパークです。このテーマパークをただミニチュアが展示されている会場だと想像した方がいたとしたら、入場からのわずか数分でその世界観の大きさに圧倒されること請け合いです。ここにあるのは単なるミニチュアの展示ではなく、ミニチュアという表現手法を五感の全てを使って楽しませようとする仕掛けの数々です。

今回はこのSMALL WORLDS TOKYOでの体験および運営担当者さまへのインタビューを通して見えてきた、本施設の魅力の源泉とそこで音声ガイドが果たしている役割について探っていきたいと思います。

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「SMALL WORLDS TOKYO」の魅力 - AIDAの法則 -

1-1 小さな世界に込められた多くの演出

1-1 小さな世界に込められた多くの演出

SMALL WORLDS TOKYOの最大の魅力はテーマ別に6つのエリアに分かれて展開されたミニチュアの街の数々ですが、しかしそれはただ形が精巧に作られているというだけのものではありません。

ミニチュアの街の中で生きている全ての人々や動物・ロボットたちにそれぞれストーリーが持たされており、その動きやシチュエーションからこの時この場所に存在理由が明確にあるのだと見る者に気付かせてくれます。

また街全体も時間経過に合わせて(展示会場では15分毎に昼夜が巡ります)変化しその表情を変え、各スポットに設置されたスイッチを押すと街のどこかで何かが動いたり・光ったり・音や匂いを発したりと様々なストーリーが動き出します。何気なく走っているクルマに注目すれば、実はそれが最新の自動運転技術で制御・走行していたなどといった驚きもあることでしょう。

このように膨大で緻密な設定とストーリーに裏付けられた街に、精巧で存在感を持ったキャラクターたちが住むことによって、いつ・どこで・なにに目を向けるか、来場者の選択によって異なった出会いや発見があるように設計されているというのが、SMALL WORLDS TOKYOの魅力なのです。

1-2 語らないことで引き付ける

一方で、緻密で膨大な設定に気付けば気付くほど気になることもあります。それは見どころの数と比較して、施設内に案内や説明といったものが極端に少ないことです。これは順路など来場者の視線や行動を指定・誘導するものに限らず、本施設の大きな魅力であるミニチュアの街と住人たちに与えられた設定やストーリー、またそれらを表現する為に用いられている多くの技術やアイデアについても同様で、その多くに解説も説明も与えられてはいません。なぜなのでしょうか?

その答えもまた、施設を巡る中で体感することができました。解説や説明を少なくするという演出は、裏を返せば出会いと発見を連続的に促す行為なのです。つまり来場者は「ここの見どころは〇△です、□〇△して楽しんでください」といったお仕着せの体験ではなく、自発的に[発見(Attention)→興味・理解(Interest)→更なる発見へ欲求(Desire)→探しに動く(Action)]という一連のAIDAのサイクルへ飛び込むよう巧みに誘導され、気付けば回し車のハムスターの様に施設内を巡り続けるのです。これは設定や仕掛け・作品や展示の楽しみ方を解説してしまっては得られない、大胆かつ自信を感じさせる見事な演出でした。正直なところ、筆者はこれまでミニチュアというものにそれほど関心が高くはなかったのですが、取材中の約2時間、次のどんな発見と出会えるのかという興奮でドーパミンの放出が止まらないのを感じていました。

1-3 魅力の源泉、それは遊び心と粋

これらSMALL WORLDS TOKYOの魅力・演出の源泉にあるものとはなんなのでしょうか?

誰の目も届かないような細かなところまで妥協せずに全精力と技術をかけ作り上げ、しかしどこを見て欲しい・知って欲しいと多くは語らない。「さぁどんな風にでもお好きなように楽しんでください。準備はできています。」とでも言われているようなこの感覚に、筆者は職人的な粋と遊び心を感じます。

この際限の無いハードの作りこみを実現する職人的なこだわり、気付く人だけが気付けば良いという遊び心、生まれた作品に対する絶対的な自信に裏打ちされたユーザーに楽しみ方の全てを委ねるというもてなし。これこそがSMALL WORLDS TOKYOの魅力、その根源だったのではないでしょうか。

今回の訪問で、なるほどミニチュアは確かに Cool Japan の一角なのだ、と改めて理解することができました。読者諸氏にも機会があればぜひとも足を運び、体感していただきたいと思います。

2種類の音声ガイド

それでは、この職人的な粋と遊び心のテーマパークで音声ガイドが果たしている役割とはどの様なものなのでしょうか。

SMALL WORLDS TOKYOでは、季節に沿ったイベントなどにより場内の展示内容も変化するとのことでしたが、取材時は2種類の音声ガイドを聴くことができました。

まずはこの2種類の音声ガイドの目的や特徴をまとめてみたいと思います。

2-1 音声ガイドA

6つの展示エリア各所に点在するQRコードを来場者のスマートフォンで読み込むと、1箇所につき1種類の音声ファイルが再生される方式です。ナビゲーターは若者に人気のアイドルが数名で担当しており、各スポットの見どころを紹介する、同施設では数少ない具体的な楽しみ方を明示する内容となっています。

しかしその内容は「ここがどのような施設でどのような楽しみ方があるのか」といった大枠のものに限られ、楽しみ方の豆知識(写真の撮り方のコツなど)といったもの。展示に込められた設定などの直接的なネタバレなどはほとんど無く、あくまで来場者が能動的に展示へ目を向ける為のサポートに留まるよう意識されており、それは音声ガイドAの展開方法にも表れています。

展示を囲む手すりに、一辺4,5cm程のシールが貼られ、そこにQRコードとエリア名、ナビゲーター名、音声ガイドである旨が記載されたシンプルなもので、音声ガイドが存在すること自体の周知も極めて控えめな点が実に同施設らしいところです。また一度にアクセスできる音声ファイルを1つに絞り、これを各所に点在させるという点も心憎い演出です。これによりQRコード自体を探す楽しみを提供すると同時に、複数の音声ファイルを一括して入手することで聞き手が次の音声ガイドスポットへと誘導されぬ様に、行動の自由を確保しようというこだわりを感じます。

2-2 音声ガイドB

こちらは「世界の街エリア」限定の音声ガイドです。

エリア入り口に専用スタンドが設置され、そこでQRコードを印刷したカードが配布されていました。このカードは1枚1枚全て異なったワンタイムアクセスコード発行型となっており、来場者1人が当日限りアクセスできるというアクセス制限機能を持っていました。このカードを読み込むと特設サイトに接続され、そこで展示と世界観を共有した5つの街に跨る6つのショートストーリーを聴くことができます。

語り手はアニメなどで人気の声優が担当し、ショートストーリーの作者もSNSで14万人以上のフォロワーがいる人気ライターが担当していました。

ショートストーリーによってミニチュアの世界観へより深く来場者を引き込もうとする、舞台装置やBGM、ストーリーテラーとしての役割を持たせた音声ガイドの活用方法です。

ショートストーリーと展示とで世界観は共有していますが、音声ガイドで語られる場面をそのまま表現したミニチュアがあるわけではないところが同施設らしさと言えます。

こちらは音声ガイドAと異なり1つのQRコードで一連の音声ファイルをストーリーに沿って聴いていく造りになっていますが、これは5つある街がそれぞれ無関係なのではなく、ある共通する事柄によって繋がっていることをショートストーリーの流れを通して感じさせています。

スマホ音声ガイド その特徴

では次に、この2つの音声ガイドの共通点について、詳しく見ていきたいと思います。

① いずれもスマホ音声ガイド(ブラウザ型)が採用されている

今回導入されている音声ガイドはQRコードを来場者が自身のスマートフォンで読み込んで聴くタイプの音声ガイド、いわゆるスマホ音声ガイドと呼ばれるものですが、さらにいずれもブラウザ型でした。

アフターコロナ時代、新たに音声ガイドを導入・更新する施設においては、来場者が自身のスマートフォンを利用して視聴する、いわゆるスマホ音声ガイドはもはや定番化しました。費用や管理の手間などのコスト面からも専用機器による音声ガイドの時代は既に終わったと言えるでしょう。そのスマホ音声ガイドの中でも、同施設では2種類ともアプリ型ではなくブラウザ型をチョイスしているのは注目すべきところです。

展示を見ることや体感することを目的とした施設においては特別な理由が無い限り、スマホの画面よりも展示を見て欲しいと思うのは当然のこと。その場合アプリ型の利点であるアプリ内の画像やデザインの作り込みに対する優先度は相対的に低くなるのではないでしょうか。

またブラウザ型の最大のポイントはアプリのダウンロードが不要な点です。これは利用時に通信量や手順が少なくてよく、スマートフォン内のデータ容量の空きを気にする必要が無いなど来場者にとって利便性が高いポイントですが、これらはそのまま音声ガイド自体の利用率向上に繋がる施設側のメリットでもあります。

② 音声ガイドの目的や効果に合わせて展開方法を使い分けている

同施設に導入されている2種類の音声ガイドはアクセス方法が異なります。

音声ガイドAは1つのQRコードからダイレクトに1つの音声ファイルに接続するタイプ、音声ガイドBは特設サイトへ接続してから音声を選択・再生するタイプでした。それぞれの目的と効果については先に述べた通りです。

ここで注目すべきは「1つの施設に1種類の音声ガイド」という先入観と「1つのコンテンツを順番に(または選択して)聴く」という従来の音声ガイドの方式に捉われない柔軟な発想です。

スマホ音声ガイドは従来の専用機器を使っていた時代とは異なり、様々なコンテンツが活用できるスマートフォンとwebの自由度の高さをそのまま音声ガイドの自由度とすることができました。その構成や展開方法すらアイデア1つで無限に広がっています。しかしながらその自由度が高いからこそ、どの様な形での展開方法があるのか、見当もつかないところもありました。今回のSMALL WORLDS TOKYOにおける「展示方法に合わせて音声ガイドの展開形式を使い分ける」という手法は新たな音声ガイドのあり方を示す一例であると思います。

③ 著名人とオウンドメディアを活用した音声ガイドの魅力の底上げ

著名人の音声ガイドへの起用は来場を促す為の宣伝活動あるとともに魅力ある音声ガイドづくりの正攻法ですが、SMALL WORLDS TOKYOにおいてはこの手法をもう一歩進めました。音声ガイドのナビゲーターを務めたアイドルが出演する動画をライブ配信サービス「SHOWROOM」で配信する他、施設内でのみ聴けるショートストーリーの別バージョンを公式Twitter上で連載するなどといったオウンドメディアを活用する形です。これにより、音声ガイド自体の認知度と魅力・期待値を高めることに成功しています。

まとめ

SMALL WORLDS TOKYOさまの音声ガイドとその魅力について見て来ましたが、いかがだったでしょうか?

取材を終えて、筆者は音声ガイドの有り方、その基本を見つめ直す機会となりました。

それは施設内で聴く音声ガイドは、本命である展示(今回はミニチュア)の魅力を来場者へ伝えるためのツールであり演出の1つであり、それは施設内の照明や音楽、展示方法、順路、室温などといったものと同じく、統一された演出意図に則ってこそ最大の効果を発揮するという事実の再確認です。

展示物とかけ離れた独創的なものでもなく、ただパンフレットを読み上げたようなものでもなく、展示へ興味を向けるだけのパワーも面白味もない無味乾燥なものであっても、その役割を果たしているとはいえません。

全ての工夫と演出がミニチュアの魅力を最大限に伝えるというベクトルへと向いた実例を体感できる機会です。皆さまもスモールワールズ東京へ足を向けてみてはいかがでしょうか。

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